長野side


屋上では、私と水野くんの2人きり。


時間も気にしない、静かな時間。


どちらも喋らない、シンとした空間。

だけど、それは気まずいものなんかじゃなくて。


そんな時、水野くんが喋りだした。

「……長野は、さ…」


どこか切ない表情をしながらも、その瞳は私を捕まえて放さない。



「どうして……どうして、そんなに後悔した顔をしてるの…?」



え…………?



「どうしてそんなに、悲しくて、不安で堪らないって顔をしてるの……?」


水野くんの一言一言が胸に響く。


なんで…バレちゃったの……?
水野くん、どうして……?



「…水野くん…っ」

気づいた時には涙が溢れ出していた。


「……」

水野くんは黙ったまま、私を抱きしめてくれた。


「うぅ~……」


水野くん、暖かい。

不思議と胸が高鳴った。