陸翔side


目を、覚ますことが出来た。
……出来たのに、実感がない。

それは、目が見えないせい。
だけど、すぐに見えるようになる。

早く、美和の顔がみたい。


ずっと願っていたんだ。
どれくらい眠っていたのか分からない。

ただ、起きたときにはわずかに光があって、ナースコールを押すと看護師さんたちに悲鳴をあげられ……


みんなが口々に“奇跡だ”とか、“彼女さん、良かったわね”と言っていた。


それから次第に視界が薄れ、医師によるとちょっとした後遺症らしい。


すぐに見えるようになると聞いて、安心した。

そして、堪らなく美和に会いたくなった。



しばらくして、病室の扉が勢い良く開いた。


「陸翔…っ!!」


可愛らしい声が響き渡る。
美和だ。
なんとなくだけど、わかる。


眠っている間、毎日聞いていた声。

俺が、待ち望んでいた声だ。