恵美が鞄から写真を取り出す。

それはあの公園での写真だった。


「なんかほほえましいから、携帯でとってプリントアウトしたんだ。」

「何撮ってんだよ。」

写真を見た颯太が、急にわらいはじめた。


「なんだよ颯太!?」

「だってこれ、樺音が、春樹に笑いかけてる。なんだこの優しい目は。」

「うそ!見せて…ホントだ樺音ウケる…春樹も赤ちゃんみたい〜かわい〜。」

「もう…。」

春樹があきれる。

「こういうの母性本能って言うんじゃねぇの?」

「樺音って母性本能あるんだ」

「あるよ。俺隠し子いるし。」

場の空気が止まる。

「うそに決まってるだろ。」

「びっくりした〜。」

「樺音が言うと笑えない。」

「何でだよ!?でも実際あるんじゃねぇの?彼氏がこれじゃ、嫌でも身に付く。」

「今さらっとのろけたよね?」

「樺音素直すぎだろ。」

「うっせぇ!!」

「勝手にしてよ、バカップル」
すねて横を向く二人を尻目に、恵美と颯太は、いつまでも笑っていた。