全然気が付かなかった。


もう、そんな始まりの季節が迫っていることに……。


「もう春かぁ。咲いたら、一緒に見にこよう――」


当たり前のように隣から春風にのって届く声。


ゆっくりと横を向けば、そこには陽だまりのようにあたたかい彼がいる。


澄んだ瞳に、この上なく似合うとびきりの笑顔。


私はそんな眩しすぎる陽だまりに、包みこまれてしまいそうだ。


ねぇ……、君にはどんなふうに見えるのかな……?


ねぇ――、君にはこの世界が何色に映っているの――?


君の綺麗な瞳にふれてみたい、私には届かないその輝きに――。