「…どうなってるの?」

突然の状況に戸惑っていた。
図書館にいたはずなのに、気づけばこんな所にいて人々に奇妙な視線を向けられている。
訳がわからないまま、そのままへたり込んだ。

どうしよう…

すぐに思ったのがそれだった。
この不思議な出来事に答えは出ない。

だけど、このままこうしていても何も始まらない。意を決し出ようと立ち上がった時だった。

「──おーい!大丈夫か?」

頭上から能天気な声が響いてきた。
誰かが覗き込んでいる。
逆光で顔はよく見えないが声から察するに若い青年だろうか。

大丈夫って言えば大丈夫だけど…

「まあ…一応…」

困惑しながら曖昧に答えた。

「そっか。…じゃあ、ここから出るから掴まれ!」


そう言って青年の手が伸びてきた。