「…………」

私が桃太郎って、なによ、それ…

私が暫く黙っていると、青年が声をかけてきた。

「とりあえず、そこに居たってどうしようもならねえから。…ほら」

そして、再び手が伸びてきた。

「っ……」


と…とりあえずこのまま居ても仕方ないし、ここから出なくちゃいけないけど…

差し出された手を見つめる…

ゆっくりとその手を取ろうとするが、震えが増していく…


やっぱり、ムリ!!!

「だ、大丈夫!自分で出れるから」

そう言って、青年の手を無視して、再びフチに掴まりよじ登った。