彼はさりさりげなく頭を下げ、私の肩を叩き、帰ろうと言った。
私は頷き、彼の後を追った。
何らかのトラブルで電車は乗れず、4.5キロを歩くコトにした。
私たちの会話は最初は試食会のコトだけだった。
美味しかったねー、など。
私はブドウ味のグミを取り出し口にする。
「グミ好き？」
私の顔を覗きながら、問いかけた。
彼の茶色の髪がやけに光って見えた。
「うん。美味しいよ。」
と、一言言い、彼の目の前にグミを差し出した。
「いや…グミ苦手なんだよなぁ…」
と言うと、ワックスのかかった髪をくしゃっとかいた。
「そ…っか。」
一瞬、間が空いた。
「でも…やっぱり食べる。」
の一言で何だか嬉しい。
私はバックのチャックを開けた。
グミを探すと、彼の気配が近ずいた。
「コッチで別にいいし。」「え？」「チョと…分けてよ…？」「んッ…」
唇には柔らかい感触がした。