誰かと思えば、
桐谷くんだった。
桐谷くんはあたしの前にピースした
手を見せる。
「あっ、帰っちゃったのかと思った」
「あはは、ごめんごめん。
忘れててさ、部活いちゃってた」
とっても、
申し訳なそうに謝る桐谷くん。
「全然大丈夫だよ。それに、日直なんて
現実的にサボるもんじゃない?」
それに比べて
思い出してわざわざ来てくれた桐谷くん
は優しい人だ。
「そうかな?俺は、これが正しい答えだ
と思っただけだけど?」
「え・・・?」
「現実とか非現実的とかないんじゃね?」
「・・・・・・」
現実も非現実的なこともどちらもない?
あたしは
そう考えて生きたことなんてなかった。
「それにさ、
サボるやつが多いっつっても結局は今井
さんもやってるし。日直って片方はきちん
とやんない?」


