あたしはむかついてむかついて
大声でそう叫んだ。
「やっぱり、あなたは盗みがいがありま
すね」
「ほめてんのそれ!?」
「もちろん、ではまたお会いしましょう」
「うるっさぁぁい!」
怪盗はあたしの言葉に鼻で笑って
警察が来る前に夜の闇に消えていった。
おかしい、
この胸の高鳴りはおかしいよ。
しかも・・・
あの人の手のひらの傷・・・今日あたし
が桐谷くんにつけたのと一緒だった・・・。
声だって、
似てた気がした・・・。
違うよ、きっとあたしの勘違い。
桐谷くんとあの怪盗は別人、桐谷くんは
いきなりキスとかする人じゃないし・・・。
あたしはそっと、
自分の唇に触れた。
「最悪、ファーストキスが・・・・・・
これが現実ってなにそれ・・・」


