旦那だけが大事って・・・
それはそうかもしれないけど。
「でも、お母さんにとって明さんだって
大事な人です。それは今でも変わってない
はずです」
「・・・っ」
なにも言えない明さんから
あたしは視線を逸らさなかった。
「なんでそんなに見透かす・・・俺と
佐菜のことなのに・・・」
「それは、あたしも恋してるからです」
見透かしてるわけじゃない、
ただ
恋して欲張りになってしまうことが
理解出来るだけ。
「朝也、行くぞ・・・」
「「え?」」
なにを言われるかと力を込めてたのに
行くってどこに・・・?
「耳澄ましてみろ、サツが来る。
捕まるわけにはいかん」
「は、はい!!」
サツ・・・?
あたしも耳を澄ましてみた。
すると確かに――――
パトカーの音が聞こえる。


