だってだって、
あんなにお母さんの名前に反応したのに
あんなに
好きだったのに・・・。
「だって、佐菜はお金があっても俺の元
には来なかった。俺に惚れてたはずなの
に来なかったんだ」
「・・・それで?」
「それでもなにも、なら諦めるさ。
でも物なら全て盗めるさ」
・・・はい?
なんでも盗める!?
すでにお母さんは手に入れられなくて?
なんだそれ。
「そんなに簡単じゃないと思いますよ?」
「フッ。君、口強いね?
けど気づいてないのか?もう、
大切なものが俺に奪われてることに」
大切なもの・・・?
嫌な予感がした。
今、あたしが探してる人が・・・・・・
もしかしたらと。
違う、そんなわけない、
そうあたしは必至に自分に言い聞かせた。
そんなあたしを誰かが呼んでいる。
「ら、な・・・」
聞き覚えのある声がした。
あたしはすぐに声のする方を見た。


