今度はいきなり悲しい表情って
なんで・・・。
理由が分からずに黙りこむあたし。
そこで口を開いたのは
「佐菜、兄さんはずっと佐菜のことが
好きだったんだ」
「えっそんなはずは・・・」
臣也くんだった。
臣也くんが嘘つくはずないし、
明の表情で本当なんだって分かった
けど・・・。
そんな素振り見せてなかったじゃん・・・
あたしのこと好きって・・・。
「兄さん・・・」
「なんだ」
困惑するあたしを余所に、
臣也くんは明に近づく。
「親父呼んだから・・・観念しろよ。
頼むから・・・もうやめてくれ・・・」
「・・・・・・」
臣也くんは明の腕を掴んで
そう言った。
明は抵抗を見せなかった。


