言うべきじゃないこと?
あたしは臣也くんの方を見ながら
首を傾げた。
「昨日さ、俺が自分の部屋に戻ろうとした
とき・・・」
「・・・うん?」
一度話そうとしてくれた臣也くんだけど
なぜか黙ってしまった。
だけど
あたしはもしかしたら聞きたくないって
心の中では思ってたのかもしれない。
だってあなたは……
「昨日、兄さんが俺の部屋から
手袋しながら出て来たんだ・・・」
「え?」
とても憧れの人だったから。
「でも、
それでも明が犯人ではないんじゃない?
それで疑うのは・・・」
「俺も、疑ってなんかねぇよっ!!
でも・・・」
臣也くんの少し大きな声でも暗闇の
中ではいつもより大きく聞こえる。
分かってる、
臣也くんだって疑いたくないって思って
るのは分かってるよ・・・。


