笑いでだと思ってたし。
それに
あたしはなんでそんなこと聞いてくる
のかも分かんなかったし
笑顔で去ってったはずの明が
少し振り返って……
「なら、
そろそろ俺のもんになれよ・・・」
そう呟いてるなんて
気づけなかったし。
――――――
あとから気づいたのが
もう大学に入ったころから明が
怪盗をしてたってこと。
誰も気づいてなかった、
怪盗が出るって騒ぎは少しあったけど
警察一家の桐谷家の人が
してるなんて誰も思わないし。
「佐菜、おはよ♪」
朝偶然会ったりしても普通だったし
なにも
盗む必要なんてなかったと思ってた。
でもどうやら明には
ほしいものがあったらしいんだ。


