「ママー!ゆうかのめにおすながはいったよ!」


「え!?」




蒼太の声に、優華を見ると目を擦りながら泣いていた。


慌てて優華の元へ走る。




「優華!大丈夫?」




そのまま優華の手を引いて、水道まで行き、目を洗って、ハンカチで拭いてあげると……




「もういたくない」


「良かった。砂の付いた手で、目を擦ったんでしょ?」


「うん」




やっぱり……




「今日はもう帰ろうか」


「えーやだ!まだあそぶもん!」




帰るタイミングかなと思って言ってみたんだけど、見事に否定される。




「じゃああと10分だけね」


「「はぁーい!」」




なんて、二人とも笑顔で言っているけれど、ちゃんとわかってるのかな。


それに、優華は目が痛かったのを忘れちゃったのか、蒼太の横に座って、また砂遊びを始めた。




「絢華さんの子供ですか?」


「あ、ごめん。……話の途中だったね」




目の前のことに夢中になっていて、佐伯くんのことをすっかり忘れていた。