「あっごめん、あたしもう行かなきゃ!」




ふと目に入った腕時計の針。


ヤバいっ!


すぐに行かないと、お迎えの時間に間に合わない数字を差していた。




「引き止めてすみませんでした」


「ううん、じゃまたね」


「はい、また」




自転車にまたがり、全速力でスーパーで買い物をして、子供達を迎えに行った。




仕事の疲れはもちろんあるけれど、こうやって蒼太と優華の笑顔を見ていると、その疲れさえも吹っ飛んでしまう。




「ママ、きょうね、ボクたんざくかいたんだよ」


「短冊?あ、もうすぐ七夕だね。蒼太は何をお願いしたの?」




あたしが聞くと、目を輝かせながら嬉しそうに話してくる。




「んっとね、“バスケがじょうずになりますように”ってせんせいにかいてもらったよ」