するりと手を伸ばして、彼女の頬に触れる。


「今ではね。
 由美奈ちゃんが“自分は本当に俺に相応しいのか”って悩んでいた気持ちが分かるんだ。 
 好きな人に対してだから、真剣に向き合おうとして、それで考えすぎていたのかなって気がついた。
 単純に自信がないだけじゃなかったんだよね」
 


 由美奈ちゃんに会えなかった間にじっくり考えた。
 
 そして、分かった。
 


 由美奈ちゃんなりに、本気で俺を好きでいてくれたこと。
 


 俺は彼女を理解しているつもりだったけど。

 どこかで『年下なんだから仕方ない』と、甘く見てしまっていたこと。
 



 離れて初めて、より深く彼女を見つめ直し。



 自分のことを省みることができた。






 いい機会だったといえば、そうかもしれない。



―――まぁ、もう2度と離れる気はないけど。


 あんなつらい想いはこりごりだ。




 俺はそっと苦笑した。