「・・・・・・苦労じゃない?」


 由美奈ちゃんは俺を見上げて、数回瞬きをする。



「うん。
 相手に歩み寄ろうとする努力は苦労とは言わない。
 由美奈ちゃんの心に近づくためなら、大変だなんて思わない。
 だから、そういう遠慮はもうしないで」



 
 彼女の額に自分の額をこつん、と合わせる。



「分かった?」

「・・・・・・はい」




 由美奈ちゃんは頬を少し赤く染めて、微笑んだ。