「そうですよね。
“好きだから”付き合うんですよね」


 俺はぐっと田辺さんを見据えた。

「・・・・・・だったら、もういい加減分かってください。
 俺と由美奈ちゃんは11才も離れていて、傍から見たらおかしいかもしれないけど。
 でも、俺には彼女しかいないんです」
 

 はっきり告げると、田辺さんの瞳から音もなく涙が落ちた。




「どんな事があっても、俺はあなたの気持ちには応えられません。
 他の男性に目を向けてください。
 では、失礼します」
 
 立ち上がった俺を無言で見上げる田辺さん。
 



 俺は振り返ることなく、出て行った。