「声、聞きたいな」
 
 たった一晩声を聞かなかっただけで、胸がこんなにも焦がれる。



 改めて思い知る。 

 由美奈ちゃんをどれ程愛しているかを。




 そして。

 彼女がどれ程俺の支えになっていたかを。
 


 今の俺には彼女無しの人生は考えられない。




 それなのに、自分から突き放してしまった。






「本当に、何やってんだよ、俺」

 ズズ、と上体を横にずらし、ソファーに身を投げだす。



 うつろな目をキッチンに向けると、並んで置かれたペアのマグカップがあった。
 


 ほんの数日前までは、あのマグカップで紅茶を飲みながら、幸せな時間を過ごしていたというのに。