その晩。

 結局ロクに眠ることも出来ず、ソファーで夜を明かした。
 


 手元の携帯を覗き込むが、電話もメールも着信なし。
 




 これまで、由美奈ちゃんの声を聞こうと思えば簡単だった。



 でも。

 今は声も聞けない。



 俺の気持ちを伝えることもできない。






「はぁ」
 天井を仰ぎ見る。


―――俺、いい気になってたんだなぁ。



 さんざん悩んで、苦しんで。

 ようやく腕の中に抱きしめることが叶った彼女なのに。
 


 
 両思いになったからと言って、そこがゴールではないのに。


 努力しないと、関係なんてすぐに崩れてしまうのに。




 想いが通じ合った事で、満足してしまった自分がどこかにいたんだ。


 だからこんな結果に・・・・・・。