「私に・・・・・・、何を言うつもりですか?」

 バッグを胸に抱きしめる。


―――ここで引いたらダメだ!


 今は店内じゃない。

 お客と店員の関係じゃない。




 逃げ出してしまいたい気持ちを捨てて、私は田辺さんを睨みつけた。
 




 私の態度が予想外だったのか、田辺さんは軽く眉をひそめた。



 でも。

 すぐに余裕たっぷりの表情になる。



「まだ分からないの?
 おばかサンねぇ」
 
 目を細めて笑う田辺さんは、これまで見てきた彼女と様子が違う。


 私と同じように、他のお客さんの目がないから、遠慮なんてしてこないんだろう。
 



 だからって、私はすごすご引き下がる気なんてない。


「もう、いい加減にしてください!!
 正和さんの彼女は、この私なんです!!」

 強い口調で叫んだ。