「悪いのはあなたじゃなくて、しつこい田辺さんよ。
 分かったわね?」


 人差し指をずいっと突きつけられ、私はコクコクとうなずく。


「分かればいいわ。
 山岸さんには私から話しておくから、すぐに帰りなさい」


「ありがとうございます。
 お疲れさまでした」

 痛みよりも、店長の心遣いがあったかくって、涙が出そうだった。






 急いで身支度を整え、通用口を抜ける。






 そしてその後。

 私は田辺さんが予想以上に執念深い人だと、身をもって思い知ることになる。