鏡に映る私は泣きそうな顔。

 その表情を見て、はっとする。



―――ダメ。
   こんなんじゃ、ダメ! 
 
 パチンと自分の頬をはたく。




 そして。

 胸の前で両手を重ねて、ぐっと握る。




「・・・・・・勝つとか、負けるとかじゃないんだ」





 正和さんは『このままの私を好きになった』と、はっきり言ってくれた。


 今、彼と付き合っているのは私。



 正面に映る自分を見据える。

「私は、私らしくすればいいんだ」



 鏡に向かって宣言した。





 だけど。


 心の奥のずっと、ずっと奥のほうに刺さってる『11才差』というトゲは、なかなか抜けてくれそうになかった。