ギリッ・・・・・・。

 自分の耳に届くほどの歯ぎしり。



「くやし・・・・・・」


 
 助手席に座っているのが、自分以外の女性だというのがショックだった。




 そして何より。


 幸せそうな彼の笑顔がショックだった。


 見たことのない笑顔。

 自分に見せる愛想笑いとは、ぜんぜん違う。




「な・・・・・・んで、三山さんは、あんな子供と・・・・・・?」



 走り去って行ったテールランプを睨みつけて、田辺がつぶやいた。