呆然としている私の背後から、正和さんが覆いかぶさるように腕を回してきた。



 私のあご先に手を添えて、顔を上げさせる。

「見てごらん」
 正和さんが言った。

 その口調はさっきとはぜんぜん違って、いつものように優しい。




 私の視線の先には、壁の姿見に映る自分がいた。



―――見るって何を?


 頭の働かない私には、彼が何を言いたいのか分からない。



 ぼんやりしていると、また言った。




「今の由美奈ちゃんは、どんな顔をしている?」




―――私の顔?

 言われるままに、鏡の中の自分を見つめた。