―――じゃあ何でそんなに素っ気無いの?


「それなら・・・・・・。
 俺と一緒にいてつまらなかった・・・・・・とか?」
 
 そっと様子を伺うと、由美奈ちゃんは『あっ』と、短く声を上げ、手を口に当てた。






「ごめんなさい。
 そうじゃないんです」


「だったら、どうして?」
 信号が青に変わり、俺は前を向かざるをえなくなった。


 ちらりと横目で見ると、彼女はまたうつむいてしまっている。



「俺、何か気に触ることしちゃったかなぁ?」


「えっ、違います!」
 パッと顔を上げて由美奈ちゃんが言った。


「正和さんのせいとかじゃないです」





「なら。
 どうして、そんな悲しそうな顔をしているの?」


「それは・・・・・・」


 由美奈ちゃんは口を閉じてしまい、それ以上何も言おうとしない。