「はい。
 これが一番良い音だなぁって」
 

 私が答えると、正和さんがそのオルゴールをひょいと持ち上げる。

「初デートの記念に、プレゼントしてあげるね」
 いかにも“当然です”って顔をして、正和さんが財布を出す。




「え、そんな。
 自分で買います」
 私は彼の手からオルゴールを取り戻す。


「いいから、いいから」
 再び彼の手の中に納まるオルゴール。



「それなら。
 私も正和さんに何かお返しを・・・・・・」



 そう言うと彼は
「少しは俺に良い格好させてよ」
 と、レジに向かって歩き出した。