「由美奈ちゃん?」

 呼ばれて顔を上げると、正和さんが目の前にいた。


「どうしたの?
 立ち止まったままで」





「あ、・・・・・・ううん。
 何でもないです。
 待たせちゃってごめんなさい」


「ぜんぜん平気。
 さ、行こうか」
 
 正和さんが私に手を差し出す。



―――なんだろう。

 首をかしげていると、彼が笑った。


「手、つなごう。
 せっかくデートなんだし。
 ・・・・・・もしかして、こういうのはイヤ?」
 優しく微笑む正和さん。




 でも。

 ちょっと寂しそうな笑顔。