ただ・・・・・・。

「やっぱり。
 彼女の父親っていうのは怖いよなぁ」




 由美奈ちゃんはあんなに可愛くって、素直ないい子だ。

 お父さんにベッタベタに大切にされていることだろう。
 

 娘の彼氏に対して、父親がいい思いを抱かないという話はよく耳にする。


 加えて俺は、由美奈ちゃんよりも11才も年上。


 嫌な顔をされるどころか、叩き帰されるかもしれない。
 


 そんなことになったら・・・・・・。



―――確か由美奈ちゃんのお父さんって、柔道の有段者って言ってた様な。





「い、いや。
 動じることはないよな。
 付き合っている以上は、いつかは顔を合わせるものだし」
 
 パン、パンッ、と頬をはたいて、気合を入れる。



「よし、行こう!」

 鏡に映った自分に向かって声をかけた。