「え?」

 なんと返答していいものか。

 とっさのことで、言い返せない。



「それに“なかった事にしてくれって”って・・・・・・。
 どういうことですか?」


 これまでずっと黙ったままの由美奈ちゃんが、堰を切ったように口を開く。




「“迷惑”だなんて、どうして決め付けるんですか?」


「決め付けたっていうか・・・・・・」
 矢継ぎ早に繰り出される質問に答えられず、俺はうろたえる。





「“今までありがとう”って、どういうことですか?」

「そ、それはっ」




「どうして・・・・・・。
 どうして、お別れみたいなことを言うんですか?」
 
「いや、その・・・・・・」




 口が裂けても、『辞めるから』とは言えない。