「そっか、そっか・・・・・・」

 嬉しそうに(ニヤニヤしている様にも見えるが)、何度もうなずく赤川。



「だから、一人で分かった顔してるなよ」
 一歩、赤川に詰め寄った。

「要するに、光が見えたってことは、柏木さんが三山さんにとって“運命の人”だということですよ」 

 ようやく答えてくれた奴の答えは、まったく真実味のないものだった。


「・・・・・・馬鹿らしい」
 俺はあきれてしまった。

 赤川にくるりと背を向け、すたすたと歩き出す。
 


「何言ってんですか!?
 ちっとも馬鹿らしくないですって!」
 大きな声で反論される。
 

 しかし。

 奴の意見をすんなり認めるほど、俺はロマンチストではなかった。


「馬鹿に決まってんだろうが。
 運命の人って言ったらいずれ付き合ったり、結婚したりするんだろ?
 あんな子供と結婚生活を送るなんて想像すら出来ないね」
 俺は照明のスイッチがある方へと歩いてゆく。


「鍋は磨き終わったのか?
 帰るぞ」
 容赦なくパチパチとスイッチを切る。

 とたんに非常灯のみの薄暗い空間に変わる。


「ちょ、ちょっと、三山さぁん!」
 暗いところが苦手だという赤川が俺に泣きついてきた。



「お前が甘えても可愛くないっての」


 ズバンッと、奴の脳天にチョップをお見舞いしてやった。