「冗談ですよぉ。
 誰にも言いません。
 でも・・・・・・」

 由美奈ちゃんの瞳には、まだいたずらな光が残っている。


「でも?」

 ゴクリ。

 息を飲む俺。




「また、私に作ってくれるのであればみんなに内緒にします。
 約束してくれますか?」


「う・・・・・・、うん。
 こんなものでよかったら」


 俺が作る『なんちゃってケーキ』で由美奈ちゃんが笑顔になるのなら、お安い御用だ。







「約束ですよ」


 由美奈ちゃんがすっと小指を出した。

「はい。
 私と指切りしてください」




「あ、うん」

 言われるままに、彼女と小指を絡ませた。



 その時の由美奈ちゃんは頬を真っ赤に染めて、なんだか幸せそうだった。