「私のお母さんのタイプなんですよねぇ、三山さんて」
 由美奈ちゃんが苦笑する。

「そうなの?
 でも、俺は人に喜ばれるほどかっこよくないよ」



「自覚ないんですか?」
 由美奈ちゃんがちょっと驚いたように、瞳を大きくする。



「自覚って言うか・・・・・・。
 よく分かんないなぁ」


―――自分のことを“かっこいい”なんて、思ったことないんだけど。

 首を傾げる俺。




「・・・・・・私はかっこいいと思ってますけど」
 由美奈ちゃんが下を向いて、ものすごい早口でポソリと言う。


 その声は小さすぎて聞き取れない。




「今、何か言ったかい?」


「あ、いえ
 何でもないです」

 パッと顔をあげた由美奈ちゃん。

 頬がうっすら赤いのは何でだろう。


 暗いから、俺の見間違いかな?




「あ、あの。
 家の中、散らかっていると思いますけど」


「上がるつもりはないよ。
 あいさつしたらすぐに帰るから」


 由美奈ちゃんの手を取って、ゆっくりと階段を上った。