「でも、そんなに大げさなケガじゃないですし。
 大丈夫だと・・・・・・」

「ダメだ」
 俺は静止の声を上げる。

「ネンザはきちんと治さないと、クセになるって言っただろ」


「そうよ」
 山岸さんもうなずいている。


「だけど・・・・・・」
 歯切れの悪い彼女。



 責任感の強さからだろうか。

 由美奈ちゃんはなかなか休むことを了承しない。



 感心なことだけど、今はそれよりもケガを治すことが優先。



 彼女を納得させるために、山岸さんは言った。

「明後日は団体様の予約も入ってないから、そこまで大変にはならないと思うわ。
 それに・・・・・・」

 山岸さんがチラリと俺を見る。


―――ん、ちょっとだけ嫌な予感。


「いざとなったら、三山さんをこき使うから」


「ええっ?!
 俺ですかっ?」


―――そう来たかぁ。


 ホールの仕事は嫌いじゃないけど、厨房と勝手が違うので異常に緊張して疲れる。