俺達のやり取りを聞いていた由美奈ちゃんが吹き出した。

「あははっ。
　三山さんたら、そんなにムキになってぇ。
　子供みたいですねぇ」


「え･･････、あっ･･････」
　由美奈ちゃんに笑われて、俺は顔を赤くした。

　先生も看護士さんもくすくすと笑っている。



―――くそう。
　　　こんなところで笑われるとは。



　内心悔しがっていると、そんな俺の気持ちを知ってか知らずか、先生が穏やかに言った。

「まあ、ワシからすれば三山君なんてまだまだ子供だ。
　人間なんて、一生修行だからのう。
　大切なのは、失敗を恐れずに立ち向かってゆくこと」

　貫禄のある言葉で、俺をフォローしてくれる。


　いい言葉を聞いた。
　
―――『失敗を恐れずに』かぁ。　
　　　


　自分の想いから逃げないでいれば、いつか、由美奈ちゃんに俺の恋心が届くのだろうか。