「私、そんなにメールしないから、メル友っても仲のいい女の子くらいで。
 メールするほど仲のいい男子はいないですし。
 あ、お父さんのメルアドは入ってますけど、家族だから“男の人”って言うのは違うし」
 
 何も言わずにいる俺を見て、由美奈ちゃんが首をかしげる。

「三山さん。
 私、変ですか?」

「い、いや。
 ぜんぜん変じゃないよ」

 あわててにっこりと笑顔を貼り付ける俺。



 でも。

 心中はちっとも穏やかではない。




―――俺が、由美奈ちゃんの携帯の中で初めての男の人。




 何だか自分がものすごーく特別な存在だって言ってもらえたような気がした。




 俺の胸はドキドキとうるさくって、今にも壊れそう。



 彼女の言動に振り回される日々は、当分続きそうである。