「はい、シェ・カミノです」

『柏木ですけど。
 三山さんですか?』
 電話の主は由美奈ちゃん。


―――店に何の用事だろう?

「うん、そうだよ」

『あー、よかったぁ。
 まだいたんですねぇ』
 電話の向こうで安堵の息をついている由美奈ちゃん。

「どうしたの?」

『昨日、店のロッカーに明日提出する課題のノートを置き忘れちゃったんですよぉ。
 店長に電話したら、店に三山さんがいるはずだからって。
 一応確認のために、電話をしたんです』

「そうだったんだ」

―――おっちょこちょいなところも憎めないなぁ。



『今、そちらに向かってます。
 後15分くらいで着くと思うんですけど』

「分かった。
 通用口の鍵を開けておくから」
 
『はい、お願いします』
 
 そう言って電話は切れた。