期待と不安が交差する中、開けた場所に男を誘導する事に。



「――おいっ!!」



しかし、人混みに紛れて逃げようとした男。

犯人だと確信。



「待てやコラッ!!」



私の方に逃げて来た為、腕を掴んで捻り上げて確保。



「逃げられるわけないやろが」



斗志樹より身長があり、体格の良い男。

190センチ近くあるだろうか。

身長は気にしなくても、小太りで力が強い。



「暴れるな」



「逃げるって事は、そういう事だよな?」



斗志樹と斗真が来て、私から男を引き離して押さえ込む。

逃げないように、私たちが乗って来た覆面パトカーに男を乗せ、事実確認。



「すみません……」



失業からの、再就職が見付からない腹いせによる犯行だと認めた男を緊急逮捕。

助手席で動機や身分証の確認をしながら溜め息が溢れた。

どうして今まで気付かなかったのかと。



「何だか妙にスカッとして、止められなかったんだ」



「けど、家族があるなら、大人なら、止めるべきだったな」



「情けないばかりだ……」



「二度と過ちを繰り返さなければ、良いんじゃないか」



「……過ち……」



「…………?」



斗志樹と話してた男は、奥歯に物の挟まったような言い方をした。

気になりながらも、七星に車を走らせるように顎で前を指す。