「クールというか、格好付け。こんな歯をむき出して笑うなんてあり得ないな」



「……言われてみれば?;;」



初めて会った日、確かにこんなに笑う事なんてなかった。

会う回数が重なる中で、変わって行った。

まだまだ私も知らない悠呀が居たとは。

知りたかったような、知りたくなかったような。

どんな悠呀も好きだった。

のめり込んで、悠呀という名前とは真逆の濁流など激しい愛の中に埋もれて居たら、きっと抜け出せなかった。

前など見れなかっただろう。



「こんな顔するんだな」



「もう無理だよ。大人なので(笑)」



24か5か忘れたけど、あの頃より老けた顔で破顔なんて、一種の公害にならないか心配。

昔みたいに感情丸出しでは、人間関係も面倒くささもあるし。



「親父に新しい称号でも作らせますか?七星なら“童顔カッコ可愛い刑事”だし、兄貴なら“爽やかイケメン”とか」



「遠慮する。その手のフレーズは聞き飽きた」



「「どこで言われた(の);;」」



謎を残して去って行く斗志樹は、本当に興味はなさそう。

新聞を引き出しにまた押し込め、デスクを片付けて午後の業務に取り掛かる。

午前中は出動要請はなくて平和だった。

どうか午後も平和でありたい。