会えたら嬉しいし、幸せなのに逃げて。



「斗志樹の仕事、邪魔したくないのに離れたくなくて。かといって、木ノ島を辞めるなんて出来ないし……。考えても考えても、答えは全く出なかった」



斗志樹は私の頭を撫でながら、ジーッと私を見据えてる。



「もしも、行かないってなったらどうなるの?」



「本庁で刑事として終わるだろうな」



「……そうだよね」



やっぱり、私がちゃんと考えないといけない。

毎日会えなくても我慢しないと。

良い歳した女が、高校生みたいな感情を抱いてはダメだ。



「……っ……」



わかってるのに、どうして……。



「寂しいのも事実だけど……、怖い……っ……」



浮気とかが心配なんじゃない。

斗志樹に何かあったら耐えられない。

考えたくないのに、現実問題、悠呀は私の前から消えた。

そんなの、二度と嫌。



「愛依?」



「ん……?」



「俺は死なねぇよ。悠呀がついてるし、俺の方が愛依と離れたくないと思ってる」



「斗志樹が……?」



「あぁ。今日だって怪我したお前を見て、気が動転しそうだった」



この人を信じて。

この人を大切にしなきゃ。

起き上がり、斗志樹の頬を撫でると温かい。

当たり前だけど、生きてる。