「違う!俺は悪くない……!!;;」



動揺し始めた男は、野放しにしては危険。



「斗真……!;;」



「姉貴……。お前、自分が何したかわかってんのか!!」




鍵を開け、痛みに倒れながらドアを開ける。

斗真が男に飛び掛かる中、首を押さえて蹲る。

警察に入って6年。

祖父母や両親に言い聞かされて、怪我のないようにだけ務めて来たせいか、殴る蹴るの痛みにしか免疫がなく、こんなにも痛むとは思わなかった。

熱く痛む首にハンカチを宛てがいながら、歯を食いしばる。

どうしてこんなに熱いのか。

痛みにもがく中、ふと頭を過ぎった“毒”という文字。

だとしたら、私はどうなるのか。



「愛依?愛依!!」



「斗志樹……、熱い……。熱いの……っ」



「熱い?」



「斗志樹……、首が熱……?」



ベランダから突入してやって来たのか、玄関から現れた斗志樹に発見され、抱き上げられながら状況を説明すると、掴んだ襟元に違和感。

斗志樹の胸元に沿わした指先。

指輪らしきものがあった。



「病院行こう」



「ごめん……。ごめん、斗志樹……っ」



「何も謝る事はない。急いで行こう」



斗志樹に1階の救急車まで運ばれ、私は病院へと向かった。

案の定、普通は切れただけでは熱を感じる事はなくて毒だと判明。

原因がわかり、適切な処置が済むまでの入院を余儀なくされた。