後半年で斗志樹がここから居なくなる。

どこに行くのかも決まってない。

もしかしたら、心の準備も出来ないまま離れたかも知れない。

斗志樹のお父さんが言いかけた事がわかった。

今のうちに、仲良くしておけって事。

でも、出来る筈ない。

斗志樹と過ごす時間は、あっという間に過ぎて行く。

一緒に居ては、すぐに離れる日が来る。

斗志樹と話す事すら怖くて、休みでもあった為に実家に避難したものの、話さないも地獄。

斗志樹がやりたいなら、私は応援する。

だけど、このままでは斗志樹は躊躇する筈。



「もう、斗真にポストあげたら?」



「あの子には無理」



「でも、離れたくないなら、愛依が辞めてついて行くしかないでしょ」



「…………」



それも考えては居たけど、私の理想が詰まった木ノ島を離れるには勇気がいるようだ。

まだまだやりたい事もあって、七星をもっと成長させたい。

それを他の人に譲って、私が叶えられないなんて悔しい。



「そんなにウジウジするなら、斗志樹君と別れたら?悠呀も草葉の陰で呆れてるよ。今のあんたは情けない。二兎追う者は一兎をも得ず。ちゃんと考えて帰りなさい」



母親も呆れたのか、ドアを閉めた。

1階へと降りて行く母親の足音を聞きながら、壁を蹴り飛ばした。

言われなくてもわかってる。

人の気持ちも知らないで、何よ……。