「思う存分、仲良くしなさい」



「いや、さすがに親の前で;;」



「もう少しで……。何でもない。僕もビールを貰って良いかな」



「…………」



一瞬、静かになったリビング。

今の間は何だったのか。

取り残された感があるのは、3人。

共通点は斗志樹の部下。

私と斗真と七星。



「もう少しで何があるの?」



「まだ決まったわけじゃないから、また話す」



「…………」



今言えない事って、何。

決まってからって、私には相談も何も出来ないって事?



「愛依、どこ行くの!」



むしゃくしゃし、私は玄関へと行く。

呼びに来た母親にポーチを見せると、何も言わなかった。

広々としたガレージ。

父親のクルザーのボンネットへと上がって煙草 銜えた。

私って、子供なんだろうか。

言い訳になるかも知れないけど、私は悠呀としか付き合った事がないから、よくわからないんだ。

悠呀だったら、全てを話してくれた筈。

悠呀だったら、隠したりしない。

悠呀、だったら――…。



「……っ……」



何で、悠呀と比べてるのか……。

比較対象が他に居ないにしても、こんな自分が嫌になる。

弱い自分が大嫌い。

このままだと、何かある度に振り返ってしまう。

これじゃ斗志樹に嫌われてしまう。

自分の気持ちを押し殺して、話してくれる日を待とう。

仕事でぶつかったとしても、彼女としては良い子で居よう。