痛みが落ち着き、アイスノンを片付けた。

添え用にキャベツを千切りし、カイワレ大根と混ぜて大皿に盛る。

オーブンで焼かれてたローストビーフを切って1枚ずつ丁寧に盛り付けてると、呼び鈴が鳴った。



「貴方、見えたんじゃない?」



「だな」



叔母さんに言われて、叔父さんが玄関へと行く。



「…………;;」



味わった事のない緊張に包まれた。

まだ結婚の挨拶とかをするわけじゃないのに、どうしてこんなに緊張してるのか。

手を洗い、結婚式でお世話になった斗真と出迎える。



「愛依ちゃん、悪かったね」



だが、頭を下げるなり謝られてしまった。



「何がでしょう……;;」



「守優と斗志樹に怒られたよ。人の結婚相手を決めるなって。まさか愛依ちゃんと付き合ってると知らなくて、那維斗君と芽依実にも、申し訳なかった」



「良いんじゃないの?ハプニングがあった方が、この子たちも面白いでしょ」



…自分だったら嫌なくせに;;

なのによくもしゃーしゃーと言ってくれるよ;;



「俺は愛依ちゃんが娘になってくれたら嬉しい。斗志樹を、頼むよ」



「はいっ」



挨拶という挨拶はなくても、認めて貰えた。

黒田さん……斗志樹のお父さんに力強く頷くと、斗志樹に手を握られ、引き寄せられた。