「邪魔すんなや祖父ちゃん!!」



「――誰にキレてるの馬鹿ッ!!」



「……った!;;」



さっきまでいけないとわかってたのに、一瞬で忘れてお祖父ちゃんに刃向かった。

その代償は大きく、お祖母ちゃんからの拳骨。

頭を抑えながらしゃがむと、斗志樹が私の頭を撫でながら、私とお祖母ちゃんを交互に見る。



「火事場の馬鹿力が凄いの私!」



「あ……ハハハハッ;;」



もう笑うしかなかったのか、斗志樹は壊れたように笑った。

普段、こんな笑い方をしない斗志樹。



「ごめんね;;おかしな家族で;;」



「大丈夫か;;」



斗志樹に耳打ちで謝ると、未だに頭を心配されてる。

痛いけど、仕方ない。

忘れた私が悪いんだから。



「いつまでイチャイチャしてないで、七海ちゃんを手伝ってあげたら?」



「自分がイチャイチャしたいからって……;;」



「しないから!;;」



図星だったらしい母親を尻目に、私に小さいアイスノンを差し出す叔母さんを手伝う。

左手でアイスノンを持って頭に宛てがい、右手でローストビーフのソースを作る。

これはお祖母ちゃん直伝。

叔母さんが出しといてくれた調味料でササッと作った。



「愛依ちゃん、良かったね」



「え?」



「悠呀君の事、乗り越えられたんでしょ?」



「うん」



最近では、車だって毎日乗らなくても心が寂しくない。

斗志樹の車で一緒に出勤する日がある位。

今日だって、1台で来たし。