「あーにーきー!!」



「煩いな、朝から」



「もう11時で朝じゃないし、この主任をどうにかして下さいよ!!」



課長室に向かって叫んだ斗真。

何か用だったのか、タイミング良く出て来た斗志樹は、“兄貴”と呼ばれる事に慣れたらしく突っ込まない。

最初の1ヶ月はずーっと嫌がってたけど、斗真のしつこさに諦めたようだ。

斗真は斗真で、兄貴と呼ぼうも、敬語は抜けないようだけど。



「何かしたのか」



「聞いて下さいよ!」



斗志樹は私に訊いて来たのに、臼杵が事を説明。

斗志樹は聞いてるか聞いてないのか、私のデスクから勝手にシャチハタを持ち出し、良くわからない書類に私の難波印を押した。

どうせ、坂田署長に提出する月間の報告書のまとめだろうけど。



「お前たちが今更な事を突っ込んだからだろ。暑いならエアコンを点けろ」



「「「……点いてます;;」」」



「…………?」



ちゃんと話は聞いてたらしい斗志樹だが、何を言ってるのか。

エアコンのスイッチを確認しに行く斗志樹とは反対に、私たちは課長室へと入る。



「部屋の規模?;;」



「あっちのエアコンが古いのか?;;」



「どっちにしても、課長ズルい!!」



最初、入った瞬間に身震いが起こったほど涼しい課長室。

そりゃあ、フロアーのエアコンが点いてると思わないだろう。



「良いね。快適」



「……何してる;;」



「「「仕事」」」



私たちは斗志樹が戻る前にパソコンや資料を課長室へと持ち込んだ。