「好き……。大好き……っ」



涙を堪え、重なってた唇を離す。

彼の胸に顔を埋め、想いを告げた。

今の気持ちは、今伝えないと意味がない。

一緒に居れる時間を大切にして。

後悔ないように、過ごすんだ。



「俺も好きだ」



耳元で囁かれた彼の想い。



「んッ…」



その耳にキスをされ、思わず反応して貰った。

ドキドキが止まらない。

28歳にして、こんなリアクション。

引かれてしまうかも知れない。



「木ノ島に行った時、驚いた。悠呀の車に、写真で見た事あった愛依が居て」



「私だって、悠呀の親友となんて……。でも、またこうやって幸せを感じられるなら、間違ってなんかないと思えます」



脳裏にちらつく悠呀の笑み。

罪悪感がないわけではないけど、私たちを巡り会わせてくれた事に感謝してる。

…ありがとう、悠呀。

私はまた笑って。

楽しく、幸せに暮らせると思う。

時に悠呀を思い出して泣いても、一緒に悲しみを分かち合って行ける黒田さんと付き合えるのは、嬉しい。



「愛依……っ」



名前を好きな人に呼ばれてる喜び。

好きな人に抱かれる幸せ。

本当、悠呀を亡くして色々な事を忘れてた。

黒田さんと出会えて良かった。

悠呀を好きになって良かった。

沢山の幸せをありがとう――…。