「愛依の気持ち、男親の俺にはわからへん。心ってもんは、人それぞれやしな。せやけど、それでえぇんか。一つだけわかるんは、悠呀を失ってから、お前はマイナス思考って事だけや」



「…………」



「悠呀みたいに失うって思ってたら、お前は何も前は進まへん。一生、1人や。俺は芽依実が死にかけても、生きると信じた。死んだら、こいつは楽なると思って、不安に思った事なんて一度なかった」



「……何で」



「そりゃあ好きなヤツと付き合えて、結婚して家族にもなって。こいつと出会ってから何一つ無駄な思い出がないからや。良い思い出が、ちゃんとあるからや。前向けや。愛依が悠呀を忘れてしまう思うなら、俺たちが覚えといてやるから。好きなヤツを抱き締める喜びを思い出せ。怪我して痛い思いして帰って来た芽依実を、一番に抱き締めた時、ほんまに幸せやと思った。愛依は指を咥えて見てるだけでえぇんか」



「嫌に決まってるし……」



「そんなら行って来い」



私は父親似だと思ってる。

後悔したくない。

本当は前に進み続けたい。

私は実家を飛び出し、課長のマンションへと行く事にした。

会って、話したい。

今すぐじゃなくても、課長と未来を歩んで行きたい――…。



〜〜〜〜〜〜



「……誰が不安なんてなかったの?」



「娘にまで格好付けてしもうたな」



「不安だったよね?心配してたよね?だから結婚したんだもんね?お義母さんに“今も愛されてます”ってメールしないと」



「……お義母さんに似て来たな;;」



「そりゃあ、抱かれた人は1人という仲間ですから」



「……そこやなくて;;」