店員を逃がすにも、まだ1人いて難しい。



「裏口は」



「ありません……っ;;」



…最悪。

逃がすにも、表だけ。

周りを見渡して、武器を探すもハサミかカッターナイフのみ。

到底、敵いそうもない。

…やるしかないか。

雑誌を束ねる用だろうか、レジカウンター下にあったビニール紐を取り、カウンターを出た。

店の前にパトカーが数台来たようだし、1人が逃げようとも構わない。



「く、来るなッ!!;;」



後退りする男の腕を掴み、ナイフを落とさせると後ろで手を拘束。



「私を敵に回すなんて、千年はぇーわ」



犯人を大人しく逃がす私ではないんだから。



「こいつ、よろしく」



「難波刑事。お疲れ様でした!」



「お疲れ様」



どこか、不完全燃焼。

やっぱり、バシッと片付けたかったな。

モタモタしたし、武器もあるようでなかった。

丸腰とか好きじゃない。



「愛依ちゃん、怪我ない?」



「七星、お疲れ。怪我はないよ」



七星が居た事に、全く気付かなかった。

タクシーを待たせてる為、七星に「また明日」と告げて、走る。



「すみません、お待たせして」



「い、いいえ。警察の方が居てくれて、大事にならなくて良かったです」



そう言って貰えたら、救われる。